大学在学中の2003年に、友人二人とデザイン会社を起業した山本壮一社長。それからわずか12年で、アパレル、飲食業、中古車買取、美容、不動産開発など、5つの会社、10の事業部を持つまでに急成長。2015年7月、将来的な株式上場を視野に全事業のグループ化を図り、株式会社グラフィックホールディングスを設立しました。さらに目指すのは「北海道から世界へ」。ローカライズされた北海道カルチャーを確立させ、アジア諸国への進出にチャレンジします。北海道生まれの革新企業、グラフィックホールディングスの山本社長に、同社成長の軌跡と現在、そして未来のビジョンをうかがいました。

 

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-学生時代に起業されたということですが、その頃のことを教えていただけますか?
山本 私は大学で観光学部に在籍していたのですが、3年生のときに「9.11同時多発テロ」が起きました。それで観光業界は大きなダメージを受けて、大手旅行会社の就職枠がなくなってしまったんです。道内初の観光学部として期待された一期生でありながら、就職先が無いという事態になってとても困惑しました。
一方で、当時自分が興味を持っていたもうひとつの世界が「デザイン」でした。ヨーロッパなどに行くと、見るものの多くが機能性だけではなく、斬新なデザイン性を備えていて、例えば家電ひとつとってみても、使い勝手が良く、かつインテリアの要素としても成立していることに感動を覚えました。
就職が難しいというタイミングと重なって、漠然とですが「デザインで人の生活を豊かにする」ような、ものづくりの仕事をしたいという気持ちに傾いていきました。

 

-具体的にはどんな事業から始められたんですか?
山本 当初、友人の企画するイベントのフライヤーなど、告知物を作るデザインチームを3人で始めたのですが、「自分たちが良いと思っているものを、自分達から発信できる拠点」とするために、法人化することにしました。まずアパレルブランドを立ち上げたのが最初です。丁度、グラフィックデザイナーが洋服をつくれる時代になったタイミングでした。その後グラフィックのスキルを、IT事業にも発展させていったという経緯です。今もその頃と変わらず、私たちの会社の中心にあるのはクリエイティブの姿勢です。

 

-その後、さらに異業種への展開が始まりますが、2010年には車買取業も始めました。
山本 当時、地方の中古車屋さんが抱える在庫を、ニーズのある海外に売るという仲介サイトがありました。その運営会社から北海道地域での普及を依頼されましたが、小さな中古車屋さんのITリテラシーは、そこまで追いついていないのが現実でした。ただ、仕組みとして良いのはわかっていたので、「じゃあ、自分たちでまずやってみよう」ということになり、古物商を取って、業者から中古車を仕入れて実際にやってみたんです。その結果、業者から仕入れるより、直接個人ユーザーから中古車を買い取った方がいいということに気づき、買取業に発展しました。自分たちでやってみてノウハウを掴んで、それをお客様にフィードバックする。それが本当のITソリューションだという思いもありました。この体験がもしかしたら、その後の当社のコングロマリット化(複合企業化)の基礎になったのかもしれません。

 

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-そうして生まれた事業を成功させてきた、その強みとはどんなところにあったとご自身でお考えですか?
山本 それはふたつあるかもしれません。ひとつは、先ほどお話ししたように、私は一度も就職をしたことがないので、世の中で言う「正解」とか、「当たり前」の会社組織の構造を知らなかったということです。「事業がたくさんある」というのも、従来の概念で見るとそうかもしれませんが、私たちとしては、それは「ひとつの流れ」なんです。いわゆる「副業」だとか「横展開」という捉え方をすると、リスクもあるし、いろいろな組織を作らなければいけないという労力が必要になりますが、私たちは幸いそこに障壁がなかったというのが大きかったと思います。おそらく普通の会社組織の固定概念だったら、できなかった事かもしれません。
ふたつめは、私と同世代の社員が多い中で、彼らの代表者として立つのであれば、自分自身に、知識や情報面でのふさわしい実力がなければいけないという意識を強く持ってきたということです。そうでなければ自分が代表をやるべきではないとさえ思います。そのために当然自分を律することもしてきましたし、さまざまなジャンルにおいて、一番知識がある人の意見を素直に聞き、学んできました。
同様に、各事業部のリーダーに対しても、どうあってほしいかという部分にはとてもこだわってきました。いわば「リーダー論」というものを重視して会社づくりをしてきたことも、大きな強みにつながったのではないでしょうか。

 

-グラフィックホールディングスの社内組織の特徴を教えていただけますか?
山本 さきほどのリーダー論の話とも重なりますが、私が重視しているのは「役職は役割であり、権利とか権限ではないし、人間的に優位なわけではない」という考え方です。ですから、物事を決断するときには必ず第三者を含めた状態で決めるというルールになっていて、一人が独走して事を進めていくことはできません。それは、たとえ私であってもです。そうしなければ、決断の場面がブラックボックス化して、会社のポリシーを逸脱する可能性が生じます。また、そうならないためにも、会社のガラス張り化と、情報をなるべく細かくスピーディーに社内で開示するということも仕組みとして取り入れています。

 

-シナジストという役割があると伺いました。
山本 それが「第三者」という役割になります。普通の会社ですと、私の立場が全ての会議に出て、各事業で起こっていることを把握して決断するのかもしれませんが、当社ではこのシナジストが一番会議に出て、全ての情報のハブになります。しかし、彼にも決定権はありません。シナジストが、事業と事業の間の触媒のような役割となり、各事業を有機的に融合して繋げることで、グループシナジーを最大限に活用できるようになります。

 

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-スタッフのモチベーションを高めるために大切にされていることはありますか?
山本 当社のように実業がメインの会社は、働いてくれている人のモチベーションが高くなければ成り立ちません。やる気を引き出し、個々の能力を最大限に活かすにはどのような環境にすべきかという事が重要です。一般的に、従業員が会社に対して抱く不満の多くは、情報が上にあがらないとか、良いと思ったことがやれないといったことだったりします。しかし、本当に良いことなら、会社としてやるべきだし、できない理由があるのであれば、その理由を伝えるべきです。
スタッフの意見や考えを取り込む環境があり、実際にそれで動かしてみる。そういうことがスタッフのモチベーションに繋がります。そもそも会社の情報を共有していなければ、そんな意見もでてきませんので、まずは情報開示、ガラス張り化をしないと始まらないという結論に達したということです。

 

-企業理念に「チャンスにチャレンジ」とあります。その言葉の意味するところとは?
山本 今の若い人たちに対する世間的な評価を聞くと、「リスクを嫌う」とか「要求はするけど努力をしない」とか言われますが、実は彼らに寄り添って、時間をかけて説明してあげる大人がいなのではないかと思います。世の中の構造がどうなっていて、頑張れば自分がどうなれるのかということを順を追って説明すれば、彼らは理解できるし、チャレンジします。チャレンジは大変かもしれないけれど辛いわけではなく、何かを掴むためにはその過程も楽しいはずです。
ここまで、「チャレンジすること」が私たちを成長させてくれましたので、今後もそれは変わることがありません。「チャンスにチャレンジ」という姿勢と、「その人の才能を最大限引き出す」という仕組み、この2点を全員が意識して、仲間と接することができれば、会社はこれからも成長できると思っています。

 

-グラフィックホールディングスのこれからがとても楽しみです。今後のビジョンをお話しいただけますか?
山本 まず今は、インバウンドの受け入れを積極的に考えています。ススキノに道内最大級、600席の飲食施設が(2015年12月)オープンしました。今後インバウンド向けを意識した飲食店の全国展開を目指します。海外から大勢の観光客が来られていますが、残念ながら今は、大手チェーン店など、地場の企業じゃないところで観光を楽しんでいただいているというのが現実です。彼らがリアルな北海道を望むのであれば、地場の企業が地場の人たちにどういうサービスを提供しているのか、そこを体験してもらいたいですね。そして「北海道は本当に良かった」という感想を自国に持ち帰って、SNSなどで広めてほしいです。その先には、こちらから海外に出て行くということにつながります。単体の事業ではなく、「これが北海道のカルチャーです」という、ひとつのコンセプトでくくられた集合体として、台湾、香港、タイなど海外に持っていき体験していただく。そんな「北海道ビレッジ」のような施設を世界に広げていきたいと考えています。

 

-ありがとうございました。最後にメッセージがあればぜひお聞かせ下さい。
山本 北海道から世界へ、ITだけではなくアナログの部分も持ったハイブリットな状態の事業を展開していくグラフィックホールディングスです。このムーブメントの波に一緒に乗って、一緒に駆け上がってくれる人に、今は一人でも多く会いたいですね。 ものを作りあげるワクワク感とか、一緒に仕事する楽しさをぜひ皆さんと共有したいし、そういう仲間が増えれば、北海道にとっても、日本にとってもすごく刺激になると思っています。

 

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山本壮一(やまもと そういち)
1980年、札幌生まれ。札幌国際大学観光学科卒。2003年、在学中にデザイン会社で起業。
北海道発のアウトドア・アパレルブランド“Naturalbicycle(ナチュラルバイシクル)”を立ち上げ、2004年には株式会社ノースグラフィックを設立。WEB・デザイン事業を開始する。
その後、飲食事業、建設事業、不動産事業、中古車事業、美容事業を展開し、2015年、更なる事業シナジーを創出すべく、株式会社グラフィックホールディングスを設立。

 

 

株式会社グラフィックホールディングス

所在地 札幌市中央区南3条西5丁目1-1 ノルベサ4F
TEL 011-281-1365
URL http://graphic-hd.co.jp

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