自らデザインした服を、自ら縫製し仕上げる。アパレルショップ販売でもなく、オーダーメイドでもなく、まるで画廊に置かれた絵画のように、ギャラリーなどで展示会を開催して販売する服飾作家が札幌にいます。名刺に通常の会社の肩書きに類するものはなく、「服づくり 藤井祐人」とだけ。「RIPOSO.」(リポーゾ)は、独自のスタイルを貫く注目の個性派ブランドです。

 

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高校時代、漠然と目指したのがファッションデザイナー。画家である父、織工房を主宰する母の影響もあり、普通に大学を出て会社員になるより、何かを作る人になりたいと考えるようになったという藤井さん。「母が若い頃ファッション関係に進みたかったという話を聞いて、それも面白そうだなと。具体的な道筋は見えていなかったんですが、『とりあえず』という気持ちで札幌の服飾専門学校に進学しました」。専門課程も含め3年間、デザイン理論や縫製技術を学ぶうち、「本場に行って勉強したい」という気持ちが押さえきれなくなります。「留学には両親も大賛成でした。しかし、お金は自分で作れと(笑)」。2年間、肉体労働のアルバイトをしてお金を貯めて渡航費用を工面。1998年、ファッションの本場イタリアミラノのモデリスト養成学校「Listituto Secoli(セコリ)」に入学を果たします。語学に苦労しながらも、2年間の在学で、職人としての高度な知識と技術を身に付け、服飾業界で身を立てる決意も固まります。

 

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帰国後就職したのが、当時めったなことでは社員や弟子を取らないといわれていた、モデリスト界の重鎮、柴山登光氏の会社でした。
(モデリスト:デザイナーと相対しながら、原型パターン作成から応用-試作サンプル-最終サンプル-工業パターン作成の全てに関与し、生産現場への指示・説明を行い、最終製品に対して品質・技術面で責任を負う立場にある人)
入社したものの、最初の1年間は「まず現場を知れ」という柴山氏の指示で縫製工場への出向が命じられます。「その1年間の経験が、今も自分のベースになってる」と藤井さんは言います。モデリストは、あくまでもデザイナーのデザインがありきの仕事。藤井さんは徐々に「自分のものを作りたい」という欲求が強くなり、独立を決意します。「どうやってそれを生業にするかまでは、その時点で考えていませんでしたね。いつも後先を考えず走り出しちゃうんです(笑)」。

 

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2008年、故郷の北海道に戻り、パーソナルブランド「RIPOSO.」(リポーゾ)を設立。2009年、札幌のギャラリーで、画家である父と「二人展」を開催。「RIPOSO.」の服、約40点を展示・販売しました。自らデザインし、自ら縫製して仕上げ、展示して売るという、今のスタイルの始まりでした。「『やっていることは画家と一緒だよね』と言われることもありますが、アートをやっているという意識は無い」と言います。「どちらかというと、プロダクトや工芸に近い。ディテールやデザインにこだわって作るが、それが売れなければ意味がないと考えています」。

 

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「RIPOSO.」の服は、自然素材であるリネン生地の使用が多いのも特長。「そもそも『軟らかくて軽い、上質なリネン』が好きでブランドを立上げたようなもの」。シンプルなデザインほど、素材が命になるため、生地に対するこだわりは極めて強いと言います。そんな藤井さんの夢は、リネンの原料である亜麻を栽培することから始め、それを繊維にして生地を自ら織り、洋服に仕立てること。文字通り「純度の高い究極のオリジナル製品作り」。

 

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札幌市南区の芸術の森美術館にほど近い自宅兼アトリエで、ひたすら服づくりを続ける毎日。アトリエにショップを併設する案もありましたが、結果としてそうしなかったのは、「集中を切ることなく服づくりに没頭したいから」というストイックな理由もあってのこと。
「服の前で何時間も悩んで、その末に購入してくれるお客さんがいたりするんです。ファストファッション全盛のこの時代に、僕の服に、そこまで真剣に対峙してくれるというのは感動しますし、もっと良いものを作りたいという次への意欲が湧いてきます」。
「RIPOSO.」はイタリア語で「休息」を意味するそう。休日に着ることをイメージして作られた繊細な1点ものの洋服が、着る人の心に安息とゆとりをもたらしてくれそうです。

 

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藤井 祐人 さん– yuto fujii
1974年 稚内生まれ。1996年文化服装専門学校卒業。1998年〜2000年イタリアミラノのファッション専門学校「Listituto Secoli」を卒業。帰国後、モデリスト柴山登光氏のパターン制作会社「サン・モードスタジオ」に入社。2008年北海道に戻り、RIPOSO設立。現在札幌市南区にアトリエを構え、洋服づくりに没頭している。

 

 

 

RIPOSO.

TEL 011-557-2733
URL http://linenworks.jp

※各種情報は記事掲載当時のものです。現在は変更となっている場合がございます、予めご了承ください。

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