昨今、ものづくりの世界に「メーカーズ・ムーブメント」と呼ばれる変革が起きています。3Dプリンタやレーザーカッターといったデジタル工作機械の汎用化が進んだり、つくり手がインターネットを通して部品調達し、買い手と直接商取引ができる環境が成熟したことなどで、パーソナルファブリケーション(個人製造)の領域が劇的に広がり、個人が“メーカー”として起業することを可能にしているのです。
そんな社会の潮流に呼応するかのように、「個人や小さな組織が、自分の好きなモノ作りを仕事としていける世の中」の実現をめざすシェア工房、Makers’ Base(COO:松田純平)が誕生しました。Makers’ Baseは、2013年8月に東京目黒区でスタート。開店から2年で登録会員数は3,000名を越える、日本最大の会員制シェア工房として成長しています。

2015年8月29日、国内2拠点目となるMakers’ Base Sapporoが札幌市に誕生しました。店長に就任したのはNPO法人札幌オオドオリ大学の学長でもある猪熊梨恵さん。COOの松田さんが北大生だった頃にドリ大の授業に参加したことが縁でその後も交流が続き、Makers’ Base1号店の起案時から、ビジョンを共有してきたといいます。
地下鉄西11丁目から徒歩7分の場所にある札幌店は、大きいものから小さなものまで、音や臭いの伴う制作作業も可能なように、3階建ての元倉庫をまるごと改装した600㎡の空間です。陶芸、木工、彫金、染織、テキスタイルなどを制作できる設備機器が用意された“「モノ作り」のアイディアを自由にカタチにできる”シェア工房です。
Makers’ Base Sapporoに、猪熊店長を訪ねました。

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2拠点目に札幌が選ばれた理由を教えていただけますか。
猪熊 COOの松田が、大学時代を札幌で過ごして、土地勘があったということもありますが、札幌は「観光都市」でもあるので、国内観光客のみならず、海外からのインバウンドにも、ものづくりを楽しんでもらうことができるのではないかという視点もあります。例えば宿泊施設と連携してここでのワークショップをツアーパッケージに組み込みこんで、体験型の観光のひとつにしていただくとか。今、その方向でも徐々に動き始めています。それと、北海道は、ものづくりをしたいという欲求がありながら、できないという人の母数が多いのではないかという分析もありましたので、そんな人のものづくりのきっかけに利用してもらいたいという思いもありました。

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札幌店店長のオファーがあったときのお気持ちはいかがでしたか?
猪熊 私自身、以前からギャラリーのオーナーになりたいという夢を持っていて、ものを作っている人のサポートをしたい、売れてほしい、発信したいという気持ちがずっと根っこにあったんです。その意味では目的が合致したという気持ちでした。それと、今、ものづくりの環境は、大企業じゃなくても小さな単位で仕事として成立させられる可能性が増えてきました。そんな、個人で仕事ができるものづくりの環境を作っていくということに共感し興味を覚えました。

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単に工房として場所を提供するというだけではなく、仕事として成功するためのサポートもするということですか?
猪熊 そうですね。個別にというわけではないのですが、ビジネスにも関わる勉強会や機器メーカーを招いて技術講習会を開いたり、クリエーター同士、あるいは一般の方との情報交換や交流ができるコミュニケーションの機会を積極的に設けたりしています。また、スタッフもクリエーターとして台湾のECサイトpinkoi(http://jp.pinkoi.com)や手作り工芸のECサイトiichi(https://www.iichi.com)に出品して、実際に売ってみたりしてノウハウを共有しています。iichiを運営する博報堂グループのiichi株式会社とは、今年9月に包括的業務提携を結び、個人作家のための場の提供とビジネス市場の連携強化も押し進めていきます。

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ものづくりをする人たちのコミュニティーという役割もあるんですね。
猪熊 はい。例えば定期的に開催する「Makers’ Night Market」というイベントがあります。これは会員、非会員の垣根なく「売りたいもの、あげたいものを持ってきて下さい」という場で、軽く飲み食べをしながら交流しましょうというイベントです。個人のクリエーターとなると、どうしてもコミュニケーションの場が少なくなるので、そこは積極的にこちらが提供していこうということですね。また、一般の方の中から、ワークショップを開催するような方を発掘したいという想いもあります。

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ワークショップという言葉が出ましたが、これを開催する目的とは?
猪熊 作家さんにとって、これまではできた作品を細々とただ売るという流れだったものが、ワークショップを持つことで、つくり手と受け手のコミュニケーションが生まれるんです。それによってつくり手はそこからニーズを発見することができますし、受け手も顔が見えるので、その作家さんのファンになれるんです。もちろんワークショップ自体も収入になりますので、これはある意味、個人作家にとっての新しい仕事の形かな、と思いますね。

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ところで、東京とは違う、札幌店独自の方向性というのはありますか?
猪熊 素材ですね。北海道は、例えば鹿の革も手に入りやすいですし、白樺を始め材料としての木材の種類も豊富なので、地場産の材を製品に使えるようにしていきたいという視点では考えていますね。

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猪熊さんご自身は、今後にどんな目標を持っていらっしゃるんですか?
猪熊 私の喜びって、出会うべき人同士を引き合わせて出会ってくれることにあるんです。その出合いから「何か良いこと掛け算して作って下さい」って送り出しができればいいなぁって思うんです。このMakers’ Baseもそうですし、ドリ大もそうですね。だから…永遠の裏方でいたい。そうあれれば幸せですね。
最後に、Makers’ Baseを初めて知った方にひとことを
猪熊 学生時代はものを作っていたけど、社会に出てとか、主婦になってとかで辞めてしまった人は多いと思うんです。そういう人にも来てほしいですね、気軽に。ここで、ものづくりの楽しさをもう一度思い出してほしいです。

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Makers’ Baseでは、施設利用 / ワークショップ / オーダー製作、という3つのサービスを提供しています。

■施設利用
広いスペース、幅広い機器、専門性の高いスタッフを有する施設を定額(3,240円/日〜)で利用できます。初めて使う機器でも、有料トレーニングを受講し利用が可能です。主に以下の3属性の方が利用しています。
 1:プロ/セミプロとしてモノ作りに、ビジネスとして携わっている人、これから始めたい人。
 2:モノ作りに関わる大学や専門学校に通っている人、通っていた人、通いたい人。
 3:中堅〜大手のメーカーに所属し、デザイン等を役割として担っている人。
■ ワークショップ
質の高いオリジナルデザインでつくる、新しい消費の形。ファッション、おみやげ、ギフト。スタッフがサポートし、高い品質で作りあげることができます。
■オーダー
自分で作る自信はないけれど、自分だけのオリジナルがほしい。お手軽にデザインを描いて、仕上げはお任せのセミオーダー。細部まで、存分にこだわってつくるフルオーダー。アクセサリー、小物、洋服から食器や家具まで。ウェブサイトとリアル店舗でご相談。

Makers' Base Sapporo

所在地 札幌市中央区南4条西13丁目1-26
TEL 011-215-0351
営業時間 10:00〜22:00
定休日 不定休
駐車場 なし
URL http://makers-base.com

※各種情報は記事掲載当時のものです。現在は変更となっている場合がございます、予めご了承ください。

札幌市中央区南4条西13丁目1-26

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「この街で暮らしたい」を、叶えます。 RCスタイル札幌 オフィシャルサイトへ

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