2012年設立のKacotam〈カコタム〉は、主に児童養護施設の子どもたちや、ひとり親家庭の子どもたちの学習支援を行うNPO法人です。設立のきっかけは、代表の高橋勇造さんが北大大学院の学生だった頃にさかのぼります。家庭教師として中学1年生の女子を教えていた高橋さん。「経済的には問題のない家庭でしたが、彼女が友人や先輩との関係などで悩んでいることを知り、子どもを取り巻く環境に関心を持つようになりました」。そして、虐待、いじめ、貧困などが原因で、子どもたちの学習機会に大きな格差が生まれている現状に気づきます。

 

20160418-_MG_3464

 

大学院卒業後、菓子卸の会社に就職した高橋さんでしたが、単独で養護施設に学習支援のボランティアを申し出て、退勤後と休みの時間のほとんどを訪問学習指導に費やしました。施設側から入所児童の個々の事情は知らされませんが、自己否定や学習に対してあきらめを抱いている子が多く、「心を開いてくれるまで、半年以上の時間を要した子もいた」といいます。直接活動を始めると、さらにいろいろな課題が見えてきて、「このまま自分ひとりの関わり方では限界があり、問題解決に向けた発展がない」と感じ、ボランティアを募ることに。募集をかけると、すぐに20人ほどから賛同を受けました。2012年に任意団体Kacotamを設立。その後、意を決して会社を辞め、2014年にNPO法人に改組し代表に就任しました。当初は活動資金も高橋さん個人の持ち出しだったと言いますから、その覚悟のほどがうかがえます。

 

20160418-_MG_3500

 

現在ボランティアは学生、社会人ら100名近く。事業の柱は3つ。学ボラ事業(養護施設、ファミリーホームなどの子に対する学習支援)、スタサポ事業(ひとり親家庭の子どもたちへの学習の場の提供)、リラーニング事業(過去に経済的理由や家庭環境により学びたくても学べなかった若者を対象とした学びの場作り)。スタサポ事業は、現状、札幌市のエルプラザなど公的施設を利用しているため、予算の面でも支援回数は月に数回と限られます。「将来的に自分たちで施設を持ち、子どもたちが放課後自由にいつでも通える場とすることが理想」と高橋さん。また、スタサポは申込制のため、そもそも親が教育に関心があり、Kacotamの存在を知らなければ、支援の必要な子どもと関わりを持つことすらできないというところに、もどかしさを感じると言います。

 

P1010784

 

活動を始めて5年目に入るKacotam。かつてここをよりどころとしていた子どもたちの中には、OBとなり、ボランティアとして運営をサポートする側になった子もいます。受験対策や学力向上が第一の目的ではないため、具体的な成果を示すことの難しい活動です。しかし子達らから「自分の居場所ができた」「ここに来ることを楽しみに、毎日をがんばれる」と言われたりすることが、高橋さんにとってはなにより嬉しいことだといいます。
今は「実践の現場」より、運営資金の確保に奔走する立場の高橋さん。現在運営費の半分が助成金、残りの半分がスタサポ事業の参加料と寄付で賄われています。しかし助成金は人件費に使えないなど、使用用途が限定されるうえに、短年支給のため、それに頼りすぎる運営はリスクを伴います。いかに助成金の比率を下げるかが当面の目標。「そのためには、Kacotamの活動を広く知っていただき、企業、個人の皆さんに支援していただきたいです」。

 

P1010805のコピー

 

北海道は、ひとり親家庭の比率が、全国の中でも高い地域。経済的な自立や子育てをサポートする組織も増えていますが、公的な支援はまだまだこれからというのが実状です。
「子どもをとりまく貧困や学習機会の格差というのは、一般の方には見えにくいですが、この国でも実際に身近にあることをまず知ってほしい。そのうえで一歩踏み出して、支援につながる行動をしていただけたらと思います。『こういうNPOがあるよ』と、私たちの活動を周囲に知らせていただくだけでも嬉しいです」。

 

Kacotamの安定的・継続的活動のために
あなたにできること 〈kacotamサイト〉
ひとり親家庭や親が病気の家庭等の子どもたちを対象にした学習支援
スタサポ概要 〈kacotamサイト〉

 

 

20160418-_MG_3550

 

高橋勇造(たかはしゆうぞう)さん
1986年9月8日札幌市生まれ。青山学院大学理工学部電気電子工学科卒業後、北海道大学大学院経済学研究科会計情報専攻。大学院修了後、道内の菓子卸会社に入社。同時に、札幌市内の児童養護施設にて子どもたちの学習をサポートする学習ボランティアを開始する。その後任意団体Kacotamを設立、市内児童養護施設の子どもたちや経済的に困難な家庭の子どもへの学習支援を通し、様々な子どもたちと関わる。2014年12月末に会社を退職、現在NPO法人Kacotam理事長を務める。

 

 

特定非営利活動法人Kacotam

所在地 札幌市北区北8条西3丁目エルプラザ市民活動サポートセンター事務ブース内
TEL 070-5283-9501
URL http://www.kacotam.com/index.html
https://www.facebook.com/kacotamsince2012/

※各種情報は記事掲載当時のものです。現在は変更となっている場合がございます、予めご了承ください。

札幌市北区北8条西3丁目エルプラザ市民活動サポートセンター事務ブース内

地図の詳細をみる

「この街で暮らしたい」を、叶えます。 RCスタイル札幌 オフィシャルサイトへ

「この街で暮らしたい」を、叶えます。 RCスタイル札幌 オフィシャルサイトへ