十二年前から南郷十四丁目で小さな古本屋を営む小林善彦さん。愛猫の名が「もも」だったので店の名は「ももねこ書店」。店名にちなんで集めた猫関連の本をレジ横に並べています。活字離れ、大型リサイクル書店の進出と世が進み、札幌もすっかり古書店が減ってしまいました。営業の中心をウェブの場に替えた店も多いと聞きます。でも、小林さんは店売りにこだわります。「普通の古本屋ですよ。でも夢だったんです。本棚を並べ、その中をお客さんが自由に眺めて歩いてくれる、そんな空間を自分でつくることが」。
最近は、「○○という本ありますか?」と指名買いを求めるお客が増えたとか。
「ネットで検索して買うことが習慣化したからでしょうか。偶然、思わぬ本と出会う喜びがある。それが古本屋の楽しみ方だと思うんですけどねえ」近所のお年寄りが世間話をして帰る。目的に合うものを探し見繕ってあげる。そんな昔の雑貨屋のような存在でありたいと語る小林さんでした。
TEXT / MASANORI HORITA
PHOTO / SHIGEO TAMURA